モデナの澄み切った朝日をあとにして、翌日は北東部に位置するヴェネト州へ

それぞれの国で、土地で仕立てられている葡萄樹は本来は気候と風土に合ったもの

ここヴェネト近郊では日本のように高さのある棚仕立てのよるものが多く、南東風に乗るアドリア海からの湿気に風通しをよくする為なのか

もしくは、通常の垣根仕立てのように人や機会が通るために列として仕立てることとは対照的に、高い位置では横にも伸ばすことができるので収量を多く取る為のどちらかだと思っていた

お伺いしたのは19世紀末より続く、ピュアの喉越しとモダンな味わいを兼ね備えるカンティーナあるMENTIへ

そんな僕の疑問を当主ステファノは

「このあたりは火山性土壌に由来して、黒い岩のようなものがたくさんあるんだよ こいつらが蓄えた太陽熱の放射によって葡萄が焼けてしまわないよう果実を高い位置へとならせているんだ」

葡萄にとって何よりも大切な酸と程よい完熟感のバランス

日本ではなんとなく酸味が苦手という方が多いような気がするけれど、弾けるような旨味と柔らかな質感を支えているのは自然由来の美しい酸があってこそ

まるで人にとっての免疫力みたいなもので、飲み疲れせずに身体を潤してくれる大切な要素であると僕は思う

快く迎えてくれた笑顔いっぱいのステファノと美人聡明な奥さんのカテリーナ

「この後は予定ある? なければ一緒にランチしない?」

予定よりもかなりの時間を割いてくれ、たくさんの知識と十分すぎるくらいのボリュームランチ(お昼ご飯だと思っていたものは実際は食前酒とおつまみだった)をご馳走してくれた

畑にはそれぞれ名前のある働き者の羊たちと、雨水を利用する大きなコンクリートタンクの自然フィルター

甘口ワイン用に自然乾燥させるための塔は、古代の染み入るような匂いと重厚な木柱にこれまでの歴史がしっかりと刻まれている

中腰の小さな窓からきこえるガンベッラーラの鐘の音を胸に響かせながら、これから向かう水の都ヴェニスにはどんな空気が流れているだろうか

最高の思い出にしてくれた、ステファノ(レストランの予約までしてくれるナイスガイ!!)とカテリーナに感謝をこめて

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