素敵なご夫婦のいるトスカーナを後にし、向かった先はバルサミコ酢で有名なモデナの町近郊に構えるワイナリー
この日は天気が不安定でいて、彼らのカンティーナは丘の上にあるために寒く冷え込んでいた
当主は所用のために不在で、かわりにアテンドしてくれたトンマーゾはだらだらと喋りながらも隙あらばギャグを盛りこんでくる切れ者
ちょうどデゴルジュマン(瓶内二次発酵による澱引き)をしているところ、「もう少しで終わるから一緒にお昼を食べよう!」
大きな犬と当主のお子さんたち皆で囲むテーブル
イタリアにきたらパスタだろっ!って張りきるトンマーゾは数分後にはニンニクがないと大騒ぎ
「ニンニクのないパスタなんて、夜空に星がないようなものじゃないか」って、これまた笑えるイタリア人らしさ
日本でいうとお出汁をとるのに鰹節がないのと一緒かな
アメリカから一時帰郷中の息子から聞いた話、元々は全く異業種についていた彼の父でもある当主は仕事が一区切りした後に醸造を学ぶために58歳で大学に入学したそう
十分すぎる大きさの畑はあるものの、未だに少しずつ畑を買い足していく理由は近隣で農薬を使われたくなからとのこと
「ウチの親父はどうかしてるよ」と言いながら笑顔の奥にはしっかりとした父親への誇りを感じる
雨の上がった畑をゆっくりと散歩しながら、トンマーゾと握手を交わしさよならする
モデナ大聖堂と沈む夕陽、大きすぎも小さすぎもしない街は夜になればさらに活気に満ち溢れていく